特集・コラム

Coworkation Village MAIZURU

京都府舞鶴市

Coworkation Village MAIZURUは、京都府舞鶴市にある赤れんがパーク内に位置するコワーケーションスペースです。赤れんが建造物の一部は、旧海軍舞鶴鎮守府の建造物として100年以上の歴史を持ち、国の重要文化財に指定されてもいます。今回のインタビューでは、Coworkation Village MAIZURUの設立経緯やコワーケーションスペースとしての魅力について、運営管理を担当されているマネージングディレクターの作間宏介様に伺いました。

マネージングディレクター作間 宏介さん

- まずはCoworkation Village MAIZURUが設立された経緯について教えてください。

作間 Coworkation Village MAIZURUは、2019年4月に株式会社J&J事業創造によって設立されました。2019年10月に管理運営を任される事となりました。元々、ワーケーションという文脈以外にも、さまざまな交流を起点とした、ビジネス創生、人財活用、働き方改革、若者が夢を抱ける環境を整えたいという舞鶴市の思いのもと、株式会社J&J事業創造によって設立されました。株式会社J&J事業創造は、決済事業を運営する株式会社JCBと、旅行事業を運営する株式会社JTBの両社によって設立された企業です。

私が運営を開始した2019年10月当初は利用者もほとんどいらっしゃらなかったのですが、現在では月に400〜500名の方々に利用されるまでになっています。

シンク・アンド・アクト株式会社で当事業の委託を受けた流れで、私がマネージングディレクターになり、地域で活動するなら地域に入り込まないと意味がないと思い、施設運営のために私自身も舞鶴市に住居を構えました。

- Coworkation Village MAIZURUの特徴について教えてください。

作間 Coworkation Village MAIZURUの最大の特徴は、国の重要文化財となっている建物の中で歴史を感じながら働ける点です。床や壁、天井など、約100年前のものをそのまま使っていますので、当時の面影を感じることができます。実際に合宿などで使われた企業様からは、「形式ばった会議室などで会議をするよりも、リラックスして会議ができる」、「良い発想が出やすい」などのご意見をいただきました。仕事しながらリラックスできるように、設置している家具にも拘っており、長時間仕事をしても疲れないような椅子を使っています。「コワーケーションスペース」として、通信環境をきちんと整備するなど、仕事をする時は集中でき、オフタイムはリラックスできる環境を整えています。
私自身がZoomの使い方についてレクチャーできますので、様々な形でWeb会議を実施したい方をサポートできます。

地域コミュニティとしての機能も担っており、多くの舞鶴市民の方々に利用されています。会員の方に自己紹介チラシを掲示板に貼っていただいたり、スペースで様々なイベントを開催いただいていますね。イベントの種類も経営者勉強会から俳句教室まで、多岐にわたっています。イベントの企画については市民の方々から積極的にご提案いただいていますよ。

実は、舞鶴市は内閣府の「SDGs未来都市」、「SDGsモデル事業」にも選定されているんですよ。このコワーケーションスペースの中からSDGsの具体的な体現のために新しいビジネスモデルを作るための産官学連携チームなども生まれてきています。

他にも、勉強会をやっている経営者の方々や、「舞鶴をより面白くしよう」と動いている20代の若いチームも出てきています。人と人、ビジネスとビジネスを繋ぎ、新しいものを生み出すことを目指して運営していますが、実際にそのような動きの萌芽が出てきました。

最近では、若いチームが舞鶴を楽しく、より広く知るための「舞鶴ボードゲーム」というものを作っています。また直近では民学産官連携のMaizuru Bamboo Monstersというチームが舞鶴市をPRする映画も作りました。「冠島の見える丘から~君とすごした舞Days~」という映画で、舞鶴市民が、舞鶴市民のために、舞鶴市民の手によって作られた舞鶴市の良さをアピールする映画です。高校生の恋愛ストーリー形式の映画なので、ストーリーとしても楽しめますよ。

舞鶴市役所の方にもこちらのスペースによくお越しいただいていますので、舞鶴市と一緒に何かをしたい方にとって非常に魅力的な環境があると言えます。実は「舞鶴ボードゲーム」のチームにも、舞鶴市役所の方にジョインしていただいているんです。

― Coworkation Village MAIZURUを利用されている方には、どのような方がいらっしゃるのでしょうか。

作間 9割以上の方は舞鶴市民の方ですね。特に個人事業主の方が多いです。IT系や地方創生系の事業を営まれている方が多いように思います。最近では学生や、お子様を連れた主婦の方々などにもお越しいただいています。お仕事だけでなく、サークルの活動や、資格の勉強など、様々な用途でお使いいただいていますよ。

舞鶴市外街の方では、舞鶴市に旅行しにきたついでに利用いただく方が多いです。企業の場合は、ワーケーションのために利用されている場合が多いですね。多い業種としてはIT系の企業です。LINE株式会社や株式会社セールスフォース・ドットコムなどの大手企業にも、短期プロジェクトの際にご利用いただきました。

VRソフト開発を得意とする株式会社フォーラムエイトには、短期的な開発プロジェクトの最後の日などに市内の学校で出前授業をしていただき、地域の学生の先端技術への興味・理解を高めることにご協力もいただいています。

― Coworkation Village MAIZURUの今後のビジョンについて教えてください。

作間 舞鶴市のワーケーションのビジョンとしては、「地域住民との交流」や、「地方課題からの人材教育」などのテーマがあると思っています。

周囲に学校もあるのでがあるので、IT系の企業とそれらの学生を繋いで、IT系の人材不足問題を解消することもできるのではないか、と考えています。

舞鶴市はSDGsに以前から力を入れていると述べましたが、Coworkation Village MAIZURUを拠点にして今後もSDGs系のプロジェクトを推進していきたいと考えています。SDGsプロジェクトを担う人材育成にも力を入れていきたいですね。

― Coworkation Village MAIZURUが立地する舞鶴市の魅力について教えてください。

作間 私自身舞鶴市に引っ越してきて1年半になるのですが、「人の良さ」が舞鶴の最大の魅力かなと思っています。舞鶴市内でも地域ごとに文化や性格の違いなどがあって面白いです。西舞鶴は城下町として栄えた文化が強くて、東舞鶴は軍港として栄えた文化が強いのかな、と感じています。他にも漁村・農村の文化などもあり、これらの地域ごとの文化や性格の違いが面白いです。

舞鶴は「海の京都」と呼ばれているだけあり、魚は抜群に美味しいです。京都府内で取れる魚の8割が舞鶴で水揚げされたものだと言われていまして、一年中新鮮で美味しい魚が楽しめます。鳥貝や牡蠣などの貝類は特に美味しいと評判です。

舞鶴は農業も盛んで、万願寺とうがらしや、苺など、美味しい作物も多いですよ。

Coworkation Village MAIZURU近くの東舞鶴駅周辺に商店街があるので、そこでお食事や懇親会なども楽しめます。私にお声がけいただければ、舞鶴市の方や、舞鶴市内でビジネスをされている色々な方との懇親会もセッティングできます。もちろん、Coworkation Village MAIZURU内で懇親会を実施することも可能です。

京都市や大阪市、神戸市からも1時間〜2時間で来ることができるので、ワーケーションにも非常に来やすいかと思います。

― Coworkation Village MAIZURU利用者の方は、どのような感想をお持ちですか。

作間 「秘密基地のような場所で使いやすい」、「色々な方と繋がれるのが良い」、「通信環境が良いので仕事しやすい」、「図書館と違っておしゃべりしながら仕事できるのが良い」、「個室がすごく居心地が良い」、「友達が増えた」、「赤ちゃんと来れるのが良い」、「Web会議について教えてくれて助かる」、「打ち合わせに丁度良い」などの意見がありました。本当に様々な用途で使っていただいているのがわかるかと思います。

ビジネスユーザーだけではなく、学生や主婦の方々にも使っていただいていますので、本当に様々な感想がありますね。