
2wa
京都市左京区
2wa(ニワ)は、京都市左京区に2025年秋にオープンした複合施設です。1階には地域住民も利用するスーパーマーケットが、2階には今後、ショップやクリニックが順次入居予定。そして3階と4階が、オフィスフロアになっています。
「2waを中心に、このエリアを活気あふれる『生産する街』にしていきたい」「オフィスで働く方々同士や地域住民の方々が交流できるような施設にしていきたい」。2waを運営する株式会社近畿建物の代表取締役である朝田様と、部長兼プロジェクトリーダーの前田様はこう語ります。今回はお二人に、2wa設立の経緯やオフィスの特徴、今後の展望などについてお話を伺いました。

株式会社近畿建物 代表取締役
朝田佳鶴子さま
-「2wa」が誕生した経緯について教えてください
朝田もともとこの場所にあったのは、10階建ての集合住宅です。しかし、耐震強度不足が判明したことから、補強かリノベーション、もしくは建て替えを行う必要に迫られました。そこで、それぞれのケースをシュミレーションしたうえで、建て替えを選択することにしました。それは、地域の人口増加と働く人々の活気を感じる「生産する街」にしていきたいと考えたからです。そのためには、長らく地元で不動産賃貸業を営んできた弊社が中心になり、新たなまちづくりを進めていく必要があると考え、何かを生み出せる場所、人と人が交流できる場所として、2waを建てようと決めました。
とはいえ、京都市内では、オフィス街といえば四条烏丸を中心としたエリアです。2waがある聖護院エリアは少しそこから離れているため、このようなところで貸しオフィスをつくっても入居者を集められないのではという声は、社内外に多くありました。
前田四条烏丸は確かにビジネスの中心ではありますが、貸しオフィスのマーケットと考えると、むしろ競合が多いエリアといえます。そのため私はむしろ、2waの立地にポテンシャルを感じていました。
ここは近くに岡崎や平安神宮などの京都らしい場所もあり、地域としての魅力が十分ある場所です。にもかかわらず、オフィスの物件はほとんどなく、競合が少ない。ここで貸しオフィスを営むことには、意義も商機もあると感じたのです。
ただ、代表の言うとおり反発や疑問の声はありましたので、代表と一緒に2年ほどかけてコンセプトを練り上げ、周囲に説明し、理解を求めていきました。

株式会社近畿建物 代表取締役 朝田佳鶴子さま
-2waにはどのような特徴があるのでしょうか
朝田最大の特徴は共用部分の広さです。一般的には、収益を考え、共用部分は最低限の広さに留めますが、2waではあえて、共用部を広く設計しました。
前田例えば、共用廊下には、縁側のように使えるベンチを置いています。仕事中に廊下に出て休憩ができたり、ちょっとした作業もできるようにしています。また、2階から4階まで続く大階段は2waを象徴するスポットでもあるのですが、ここはただの階段ではなく、床暖房を入れて座ってくつろげるようにしました。本棚やクッションもあるので、ゆっくり座って本を読んだり休憩したり、お弁当を食べたりできます。オフィスによっては大階段に面してテラスを設置し、大階段を眺めながら仕事ができるようになっています。
廊下の手すりは高めに設定し、さらに幅を広く取ることで、ノートパソコンやスマホなどの操作をしやすいようにしました。建物全体をワーカーの利便性やメンタルの両面でパフォーマンスを上げるための「装置」としてデザインしました。

朝田ずっとオフィスで仕事をしていると、気分転換したくなることは誰にでもあると思います。特にクリエイティブな仕事をしている方はなおさらでしょう。そのようなときにオフィスを出て、廊下や大階段を回遊しながら気分転換できるように考えました。
また、建物の1階にはスーパー(イオンスタイル)が入っていますし、現在工事中の建物北側の庭には、完成後にキッチンカーを呼ぶ予定です。スーパーやキッチンカーは、ここで働く方だけではなく、地元住民の方や観光客の方も利用されます。オフィスで働く方と地域の方々が自然に交流でき、刺激やひらめきを得られる場になればいいと考えています。仕事と日常が自然に混じり合った「ワークインライフ」という生き方を実現できる場所にもなれるでしょう。
前田自転車ユーザーに優しい建物というのも紹介したいポイントの1つです。京都はコンパクトで、自転車での移動にも適した街ですが、中心部では駐輪場の確保が課題になることも少なくありません。そこで2waでは、3階にオフィス入居者専用の駐輪場を設けました。地上からスロープでアクセスできるほか、エレベーターも自転車ごと乗り込めるサイズを確保しており、自転車通勤する方にとっても便利な造りになっています。

株式会社近畿建物: 代表取締役 朝田さま、取締役 大澤さま、 部長・プロジェクトリーダー 前田さま
東海物産株式会社(2wa管理担当のグループ会社): 取締役 朝田さま
-2waの利用者はどのような方が多いのでしょうか
朝田4階はワンフロアすべて、1つの企業様にご利用いただいています。もともと滋賀県の郊外に本社を置いている会社なのですが、通勤しにくい立地にあり人材確保に課題を抱えていらっしゃったそうです。2waに入居した後は、求人への応募倍率や、社員の方のモチベーションも向上しているそうで、私どもも嬉しく思っています。
3階に入居いただいている企業様は、ゲーム開発会社や士業事務所、経営コンサルティング会社です。ゲーム開発会社様には大階段も積極的にご活用いただいていて、まさに私たちが考えていたような施設の使い方をしていただいています。

3階オフィス
-今後、2waをどのような施設にしていきたいと考えていらっしゃいますか?
朝田今後は、2階にクリニックなどの医療系テナントの入居を予定しています。働いている方にとって、体調管理は欠かせません。仕事の合間にもクリニックを受診できれば、ここで働く方々のウェルビーイングの向上も実現します。
前田聖護院や東山二条の周辺は、岡崎や祇園といった特色ある街に囲まれていますが、そこまで強いカラーはまだないエリアです。いわば「色のない街」であり、だからこそ、新しく色を塗っていく面白さがあると感じています。
この付近は、京都の近代化の歴史が詰まった街でもあると思います。たとえば琵琶湖疏水や、明治に開催された内国勧業博覧会の際につくられた平安神宮もすぐ近くです。2waは、このような歴史的な文脈も踏まえつつ、街に溶け込む存在になるよう意識しています。50年、60年経っても愛され、この地域のランドマークになるような存在でありたいですね。
朝田ここはまた、京都大学や京セラ美術館、ロームシアターなどにも近く、ビジネスとアカデミア、そして日常(ケ)と非日常(ハレ)が調和するエリアです。
実は、2waという名前と2つの輪が重なったロゴには、ビジネスとアカデミア、日常と非日常、伝統と近代、ここで働く方々と地域住民の方々が重なり合うというイメージを重ね合わせています。働く場がこの地域にあることを通じ、街に愛着をもつ人が増えると嬉しく思います。
また、京都は学生の街ですが、卒業・就職を機に離れてしまう人も少なくありません。京都がただの「思い出の街」ではなく「卒業後も働く場所」になること、そしてこの周辺が活気あふれる「生産の街」になること。その中心的な存在になることを目指していきたいと考えています。
<拠点概要>
2wa:https://2wa.kyoto/
詳細:https://startuphomebase.kyoto/homebases/2wa/
内覧・お問合せ等:お問い合わせフォームまでお気軽にご連絡ください。

本特集取材班と、スタートアップや中小企業への経営・技術支援を行う京都産業21・京都府中小企業技術センターのスタッフ